遊び隊

特別養護老人ホーム（以下特養）には厚労省の定めた三ヶ月ルールなるものがある。


特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準
第二十二条　特別養護老人ホームは、入所者について、病院又は診療所に入院する必要が生じた場合であって、入院後おおむね三月以内に退院することが明らかに見込まれるときは、その者及びその家族の希望等を勘案し、必要に応じて適切な便宜を供与するとともに、やむを得ない事情がある場合を除き、退院後再び当該特別養護老人ホームに円滑に入所することができるようにしなければならない。


実は業界人でもある私、このルールをずっと知らなかった。

高齢者が入院するとたいていの場合三ヶ月以内に退院するか永眠されてしまうので、
こうしたルールに直面することはあまり無い。

また、この三ヶ月以内の解釈も老健によって異り、
ある老健では厳格に、ある老健では半年ほど対応したこともあったらしい。

もちろん、病院代と並行して入院中の利用料（居住費のみ）が発生する。

今回、某老健に入所している知人の母親が体調を崩して救急搬送された。

一時、様態が悪化して最悪の場合を覚悟。

ところが幸いにも快方に向かい、
病院から「もう少しで治療しなくても大丈夫」と退院の示唆。

知人が安堵していると施設から突然、
「あと一週間で入院期間が三ヶ月になるので、それまでに退所してください」

事前の説明も無く、そんなこと急に言われてすぐに対応できる人っています？

退所の対案も提示せずの一方的な退所勧告、施設の介護放棄ですよ。

業界人である私ですが、現場業務が主で相談員などの実務にはとんと無知。

通り一遍のアドバイスしかできず・・・。

特養からの退所勧告があってから二日後に事態は急変。

これまで老健側の不誠実な対応が何度かあったこともあり、
こうしたことに不信感を持った知人の娘さん、
契約書に記されていた苦情の連絡先である市に事の経緯を電話。

すると、市から指導を受けた老健は退所一辺倒の頑な態度を一変。

謝罪の電話があり、代わりの老健を紹介してきたとのこと。

いろいろとわだかまりは残ったものの、取り敢えずは事なきを得た。

老健など施設を利用する側としては、何かあってもなかなか施設に物言えない。

そんな時は苦情の連絡先として記してある自治体に一報することをお勧めします。